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前腕橈尺骨骨折の術後作業療法
2020-10-24【カテゴリー】OTの仕事

管理職ブログチーム リハビリテーション部部長の作業療法士椎木ですニコニコ

最近ちょっと世の中に遅れて、『鬼滅の刃』にはまっています。
漫画ですが、主人公など出てくるキャラクターが結構いい事、言ってるんです。
これから国試に向けての追い込みの時期、はたまたコロナ対応で頑張っている方にはぜひ読んでいただけると力づけになるのではないかなと思います。

さて、今日は作業療法治療の実際についてご紹介したいと思います。

東大阪病院では整形外科365日24時間救急受け入れ を行っています。

どんな患者さんが多いかと言うと、

高齢者で自宅や施設で転倒、自宅内外での事故などで骨折したされた方です。救急車で病院まで運ばれる方、ご自身でどうにか来院される方、そういった方々に対して手術や治療を行っています。

作業療法部門では、大腿骨頸部骨折や圧迫骨折、上肢~手指骨折の患者さんを担当し、術前・術後の機能訓練や生活動作指導をします。
担当させていただいた患者さんのご好意で「何かお役にたてるなら」と、ブログへの掲載を快諾いただけましたので、今回は前腕橈尺骨骨折で手術前後のリハビリについてご紹介したいと思います。

自転車での走行中に、左の前腕橈骨と尺骨骨幹部の骨折をされました。受傷後、すぐに入院されたケースです。

(実際の骨折の写真です)

翌日、一時的創外固定術を受け、それからさらに1週間後、骨折した骨をプレートで固定する手術(観血的骨接合術)と2回の手術が実施されました。2回目の手術の2日後に退院、退院後、間もなくして司法書士の仕事に復帰されました。

(創外固定術後の写真)


(観血的骨接合術後の写真)

 

 

入院中は手術日を除いて1日2回の訓練を実施。

退院後は外来通院でのリハビリテーションを継続。

はじめの3週間は週に2回、直近では週1回に頻度を減らし、合計15回の外来リハを受けていただきました。

司法書士のお仕事をされており、急な入院でもあり、機能回復と早期に復帰できるようにと関わりました。創外固定をしている間は、手関節~前腕は運動ができません。動かしても大丈夫な指や肘の運動を中心にプログラムを行い、もともとジムでのトレーニングを日課にされていたとのことで、体幹やエアロバイクなど下肢の運動も取り入れて、体力を維持できるようにとプログラムを設定しました。トレーニングをされていて、筋肉の動きや知識も持っておられて、自主トレはしっかり確実に行ってくださったので、術後の経過も順調に進めることができました。

入院中は、担当直後から退院後の生活復帰に向けて、生活動作から家事、仕事での作業内容や、通勤の方法、日課で行っていたジムでのトレーニングetc...細かに質問させていただき、退院前は先生から許可された動きで行えるように助言や練習を行いました。2回目の手術後、退院前にPC入力を試してみると入力することができて、入力時の打ちにくさは若干ありつつも、早期に復帰していただけてホントに良かったですキラキラニコニコ

フルタイムで仕事をされている方にとって、入院生活は制限も多く、時間はあるけど、することがないのはとてもストレスフルな環境です。入院中は1日2回のリハビリでしたが、毎回、指が動きやすくなったり、体が動かせたりと少しは気分転換的な役割も果たせたかとなと思います。 

ストレスというと、受傷したことで、ちゃんと治るかな…元の生活に戻れるかな…と不安があると思いますが、さらに、お休みしている間、収入は減ってしまうし、経済的にも負担が多いです。外来通院も、診療代金だけでなく、通院のための費用(交通費)も掛かってきたりと出費があります。自転車で通勤していたのに、骨折後、バスや地下鉄を利用したりする必要がでて、それだけでも負担増ですよね。

入院中医事課のスタッフから、負担限度額制度の説明があったとの事で、手術費用などの支払いがかなり軽減され、「まったくそういう制度を知らなかったので、教えてもらえて助かりました」とおっしゃっていました。

外来リハビリ通院では、早期に腫れもひいて、どこが悪いのかわからないぐらいに見た目上は変化しましたが、「左手荷重はダメ、前腕を強くひねる動作は禁止」指示があり、前腕の運動は積極的にできなかったため、骨折の影響で弱くなっている母指と手首の筋力改善に力を入れました。外来移行してから約2か月後、仮骨ができ、前腕の運動が一部緩和されて、わずかに制限の残る前腕の可動域改善に努めました。


 (観血的骨接合術後、リハOT終了時の写真)

仮骨ができるまでの、一見動かせそうなのに積極的な練習ができない時期はとってもつらくて、大変だったと思います。手術で骨折は整復されて固定もされていましたが、この時期の積極的な他動運動は骨折部分がずれるリスクがあり運動の制限を守る必要がありました。骨の模型を使って、なぜ動かしてはいけないか説明したりさせてもらいました。

骨がしっかりできるようにセーフス*も毎日実施されていました。 


 (セーフス※での治療場面)

 ※セーフスとは、超音波骨折治療機器で骨癒合期間の短縮や難治性骨折の癒合成功率を高める働きがあるとされています。

とても大きな骨折で、運動の制限もある中での治療でしたが、約3か月の短期間で大きな制限を残さずリハビリを卒業できたのは、整形外科の先生の手術技術はもちろんですが、リハビリからの自主トレ提案を生活に取り入れて、コツコツ続けていただけたコトが結果につながったなと思います。むしろ、運動しすぎないように止めるのが大変でした。

あとは、ジムでの前腕への運動を許可いただくのみです。

最後に、リハビリ経過やお名前の当ブログへの掲載、また、レントゲンや治療中の写真提供・掲載を快諾いただきました小野澤大明様に深謝いたします。文章推敲にもご協力いただきました。
ありがとうございました!

 小野澤大明さんのご紹介
 司法書士・行政書士 三ツ葉合同事務所 

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