TOP > スタッフブログ > 腎臓リハビリテーション 透析患者さんとの関わりで気を配りたいこと

腎臓リハビリテーション 透析患者さんとの関わりで気を配りたいこと
【2021-10-05】カテゴリー:PTの仕事、POSの本音

〈腎臓リハビリテーションとは?〉


 
 
 当院には透析センターがあり、入院されている患者さんの中にも透析を受けておられる方が多くいらっしゃいます。透析患者さんの入院理由は、転倒による骨折であったり、肺炎、心不全など多岐に渡ります。当院では透析を受けておられる患者さんも必要に応じて医師からリハビリテーションの指示を出され、リハビリテーションを受けていただいています。

 さて、みなさんは『腎臓リハビリテーション』という言葉をご存じでしょうか?


 腎臓リハビリテーションとは、腎不全の患者さんや透析を受けられている患者さんに対して行うリハビリテーションのことで、食事療法、薬物療法、運動療法を患者さんが中心となって包括的に行うものです。そのなかでも運動療法(いわゆるリハビリ訓練)を続けることで腎不全の患者さんや透析患者さんの健康を増進させ、長生きにつながる効果があるといわれています。



〈腎臓リハビリテーションを行うなかでの悩み〉


 

 リハビリテーションは透析患者さんに効果があるため、私も理学療法士としてリハビリ訓練を提供します。しかし、透析患者さんの「やる気」を引き出せていないと感じることが   あります。透析患者さんからしてみれば、「訓練を押しつけられている。」と感じておられるかもしれません。


 このブログを読んでいただいている療法士の方も、患者さんからやる気を引き出せていないと感じた経験はありませんか?

 そこでみなさんにある文献を紹介したいと思います。


 日本腎不全看護学会 第23回 教育セミナーです。


 2005年9月に北九州市で開催されたセミナーですが、看護師さんの透析患者さんに対する関わり方が詳しく書かれています。興味のある方は、コチラ をクリックしてご確認下さい。



〈透析患者さんの「やる気」を引き出す関わりとは?〉
 
 以下の文章は先ほど紹介しました日本腎不全看護学会 第23回 教育セミナーの内容を簡単にまとめたものです。


 透析患者さんの抱えているストレスとして、水分、食事制限、決まった日時に透析療法を受けなければならないという生活・社会生活の制限と拘束感があります。また身体機能の低下、合併症の出現。家族に対する負い目、死に対する不安が挙げられます。そして、希望が欲しい、希望を持ちたいという心理も強く存在します。自分でもどうしようもできないストレスでイライラしたり、うつになってしまうこともあると思います。

 わたしたち医療従事者の援助のあり方として、


 1.患者さんが心を開いて自由に話せる人間関係を作る。
 2.患者さんの訴え、語りを良く聞くことから始める。
 3.患者さんの不安や葛藤を言語化してもらうよう促す。
 4.われわれの要望を受け入れられないときは十分配慮し決して強要しない。
 5.日々の変化に気づき、リフレーミング※の援助を行う。
  ※リフレーミングとは対象の枠組みを変えて別の感じ方を持たせることの意味。
 6.続けてきた療養人生の中で頑張ってきたことなど、肯定的な面に焦点を当てて評価する。
 7.小さなことでも生活の中で楽しみや喜びを見つける工夫を援助する。
 
 以上です。


 わたしたちリハビリスタッフもこれらのことに気を配りながら、リハビリを通じて透析患者さんに成功体験を積んでいただき、その成功体験が患者さんの希望に繋がればと思っています。



〈事例:透析患者さんとの関わり(
腎臓リハビリテーションを通して)
 
 以前のことですが、透析患者Aさんの訓練で、

 Aさんより「今日はしんどいからリハビリ訓練やめといて。」と訴えがありました。

 その訴えに対して私は「一度リハビリテーションをお休みされると、続けるのがしんどくなりますよ。」とお伝えしました。


 結果、Aさんはしぶしぶリハビリテーション訓練をされました。


 後で聞いた話ですが、Aさんは看護師に「リハビリ訓練がつらかった」とおっしゃっておられたとのこと・・・。


 今思えば、私はAさんの訴えに耳を傾け聞くこともせず、自分の意見をAさんに押しつけ、強要していたのだと思います。Aさんには本当に申し訳ない対応をしてしまいました。


 日本腎不全看護学会 第23回 教育セミナーの内容から学んだことを生かして、私が経験した最近の事例をご紹介します。


 透析患者Bさんは意識を失い長い間ベッドから起き上がれない状態でした。


 ある日、リハビリテーション訓練のためお部屋に伺うと、Bさんは暗い表情で「もう家には帰れない。」とおっしゃられました。


 私はじっくりとBさんの話を伺いました。


 Bさんはご主人と二人暮らしで、ご主人と電話で話をされたそうです。


 ご主人からは「透析を受けていて、なおかつ、今後高齢のため歩けなくなったら自宅での生活は難しい。どこか施設で暮らす方が安全だと思う。」と言われたそうです。


 私はBさんがご主人から言われたことをどう感じたのか、またBさん自身どんな不安を抱いておられるのか、ご自身の言葉で語っていただきました。すると、Bさんは内に秘めた思いを言葉に変えて発せられたことにより、吹っ切れた様子で普段通りリハビリ訓練に取り組まれました。

 

 私がBさんと向き合い傾聴することで、Bさんの「やる気」を引き出せたのではないかなと感じる経験でした。また、私自身の成功体験にも繋がりました。


長文となりましたが、最後までお読み下さり、ありがとうございました。


<文責>
リーダーブログチーム 理学療法士T
企画部 アベ


※無断転写禁止



ページTOPへ