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当院の作業療法士がA-QOA認定評価者になりました。
2023-6-9【カテゴリー】OTの仕事/その他

 東大阪病院は80歳以上の高齢の方が多く入院されています。そのため認知機能低下を呈している患者さんと接する機会が多くあります。一概には言えませんが、認知症の患者さんは環境の変化や現実社会との認識のずれからストレスや不安を増強させ、落ち着かなくなり・・・といった悪循環が生じ、更に認知機能の低下に繋がってしまうことがあります。入院生活の中で少しでも患者さん自身が興味・関心のある作業活動を、自分の思うように行える時間があれば・・・支援者が患者さんの特徴に合わせて関わることができれば、悪循環を断ち切ることになるかもしれません。
 その視点を取り入れた活動の評価法の一つにA-QOAというものがあります。

A-QOA (Assessment of quality of activities) とは?

 対象者が何らかの自然な文脈の中で活動を行っている際の活動の質(Quality of activities; QOA)を観察から評価するための評価ツールです。対象者中心の評価であり、本人目線での活動や作業の効果や意義を評価します。21の評価項目を各4段階で評価し、活動や作業が対象者にとってどの程度効果があるかを数値化できます。患者さんが興味を示しやすい作業の提案や支援者に支援の方法について伝えることが出来ます。客観的データをもとに支援できるのがこのA-QOAの特徴であり強みです。

 今回、当院のリハビリテーション部の職員であるMさんがA-QOAの認定評価者になることができました。Mさんは6年目の作業療法士です。Mさんにインタビューし、認定評価者を目指したきっかけや今後について聞いてみました。

Q1.なぜA-QOA認定評価者になろうと思ったのですか?

 作業療法士として、臨床の場面で作業活動を用いた介入を行うことは多くあります。その中で、本当に対象者にとってそれが適切な作業活動(または環境)であるか?作業療法士の主観的な評価のみで効果判定を行っているのではないか?対象者にとってなんとなくよさそう、でも何が良いと感じたポイントなのか?など、たくさん疑問を感じることがありました。そんな時に卒業校の恩師から、A-QOAの研修会の案内をいただき、作業活動の質を評価できるものと知り、まさにこれが必要だった!と思い、認定評価者を目指すことにしました。

Q2.興味を持ったきっかけはありますか?

 今回の評価者取得以前に、「認知症ケアガイド」という書籍を読む機会がありました。そこでは認知症の方に対する活動の利点や環境の設定、活動の用い方などが記載されており、作業療法士として関わり方の指標の一つを学ぶことができました。A-QOAは同書籍の訳者である先生方が開発をされており、更に発展的に活動の客観的な評価指標として用いることができる点が魅力的だと感じ、興味を持ちました。

Q3.認定評価者になるまでの流れを教えてください

 院内倫理委員会からの許可、各主治医やご本人・ご家族からの許可を得たうえで、10症例、各2活動ずつを評価しスコアシートへ記載を行い、それを研究団体へ提出しました。
 期限は、講習会受講より3か月間でした。提出後、内容に問題がなければ認定評価者となり、認定者のみAQOA-pro(算出されたスコアから、観察された活動の質がどの程度良いのか、悪いのかというのが判断可能となるツール)を用いることができます。

Q4.講習会の受講や実際に評価したことで変わったことはありますか。

 活動を評価する中での着眼点が備わり、客観的な評価として何がよいのか悪いのかを、評価者の思い込みなどを除いた状態で、一定して評価ができるようになりました。また、なんとなく良い感じ、と思っていたことが具体的にどの観察ポイントからそう判断できるのかが言語化できるようになりました。

Q5.今後どのように作業療法の実践に活かせそうですか?

 作業活動を評価する中で、理論的・客観的に対象者へ用いる内容の評価を行うことができるため、療法士自身が、自信をもって評価・作業活動の提案が行えると思います。結果的に対象者の方々にとって安心したり、楽しんだり、病者役割ではなくその人らしく過ごしていただく時間を作ることができるようになると感じています。

Q6.今後の作業療法士としての展望をお聞かせください。

 対象者の方々が、どこにいてもその人らしく生活や人生を続けられるように、作業活動についてのみならず、療法士としての研鑽を驕らずに日々続けたいと思います。また、今後は院外での発表なども行い、自己の成長と作業療法士界全体のための情報発信も行っていきたいです。

 人間作業モデルの評価法のなかにVQ(意志質問紙)というものがあります。その評価も患者さんが作業している場面を観察し点数化していくものであり、内容は似ていると伺っています。VQは手順書を購入し自己での勉強が中心となります。実際に私も評価したことがあるのですが、私は勉強・経験不足から「本当に正しいのか」、「客観的に評価できているのか」自信が持てないというのが本音です。今回のA-QOAは研修会への参加、認定評価者になったことで、客観的なデータの抽出が可能となりました。主観ではなく客観的に示すことが出来るのは今後Mさんにとって強みとなると思います。その強みを活かした作業療法実践の報告が楽しみです。またMさんは患者さんのためになるように他にも住環境コーディネーター1級試験の勉強をしていたりと学習意欲が高く、本当に頼りになる後輩です。Mさんからはいい刺激を沢山もらっています。今後もMさんの活躍に期待していきたいと思っています。A-QOAの使用は作業療法士に限定されません。ご興味のある方は一度調べてもらえたらと思います。

人間作業モデル:人が意志、習慣化、遂行能力を持ち、その環境を通して適応行動を発達していくという理論であり、作業療法学における臨床実践モデルの一つである。(一般社団法人 日本作業モデル研究所ホームページより引用)

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