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人間作業モデルの説明と症例検討会
2024-8-27【カテゴリー】OTの仕事

 今日は、私がリハビリテーション部の作業療法症例検討会で行った、人間作業モデルを用いた発表について話をします。

 私は作業療法士になって、1年目から5年目まで他の病院で働き、6年目で当院に中途入職しました。

 私の母校の教員は様々な授業で、合言葉のように、「人は作業することでより良くなれる」ということを伝えてくれていました。私が新卒で入職した病院では、作業に焦点を当てた介入ができるように、先輩作業療法士(OT)は作業科学や人間作業モデルを学び、その良さを新人であった私に教えて下さいました。私は今でも、その先輩方を尊敬しています。そこで勤めることができたので今の私があるのだと思っています。母校と新卒の時に入職した病院の影響から、私自身、作業科学や人間作業モデルに興味を持ち、作業療法士(OT)として、その方にとって大切で必要な作業がまた出来るようになるための支援がしたいと思うようになり現在に至っています。

 人間作業モデルの概念を用いて患者さんと関りをもつことで、その人らしさを知ることのきっかけになることがあります。私が前の病院の先輩作業療法士(OT)に教わったような経験を、今の病院の急性期リハ部のメンバーと共有し興味を持って学んでほしいという思いから、人間作業モデルの説明とそれを使用した症例発表を行いました。

 人間作業モデルは私にとっては概念が難しく、研修会に参加したり、何度も繰り返して理論書を読み理解を深めようとしたのを思い出します。今回資料をまとめるにあたり、また一から理論書を読み直したのですが、当時では気づかなかったことに気づき、理解を深めることができました。ただ、頭ではわかった気持ちでいても、実際にわかりやすい言葉にかみ砕いて説明する事は難しく本当に苦労しました。人間作業モデルは作業適応を目指す理論です。人が作業を行った(作業参加)結果、作業同一性や作業有能性が育まれ結果として作業適応に繋がります。この流れの説明をするのを本当に苦労しました。

 

 人間作業モデルには多くの評価法があります。

 当院には私が入職する前から、
・人間作業モデルスクリーニングツール(MOHOST)
・作業遂行歴面接第2版(OPHI-Ⅱ)
・意志質問紙(VQ)
・コミュニケーションと交流技能評価(ACIS)のマニュアル がありました。

 私が入職したときはそれらを使用するOTは残念ながらいませんでした。

 私が入職してから購入していただいた、認知症高齢者の絵カード評価法(APCD)についてはみんな使用する事が出来ており嬉しく思います。また入職直後に作業療法士(OT)を対象に入職時研修を行いますが、その時に作業質問紙(OQ)の説明や実践をしているため、各作業療法士(OT)は作業質問紙(OQ)を使うことが出来ます。認知症高齢者の絵カード評価法や作業質問紙(OQ)ように他のマニュアルを使用できるようになってほしいと思っています。私自身、今回の研修を行うまで、OPHI-Ⅱを使用した経験がありませんでした。今回マニュアルを読んでいると、面接の手順書となっており、経験年数が低いOTにとって面接で聞くべき視点を学ぶことができるツールであると感じました。

 今回症例検討会では、実際に患者さんに上記の評価ツールを使用し何を評価するツールなのかを説明しました。OPHI-Ⅱで評価し患者さんと一緒に作成したナラティブスロープがこれになります。

 個人情報の都合上、出来事については消去しています。実際にOPHI-ⅡとOQ評価により患者さんらしさや、どういった作業が作業同一性や作業有能性に影響を与えていたのか知るきっかけになりました。それをもとに介入したことで、患者さんにとって大切な作業が明らかにでき、阻害していた因子への介入が可能となり作業適応を目標とした、肯定的な作業同一性の構成と作業有能性の達成へとつながることができました。

 今回の研修会の準備と発表をしたことで、私自身理解を深めることができいい勉強になりました。研修会後のアンケートでは、

スタッフから
「基礎的なMOHOについての知識が学べました。研修会では具体例はあまりなく、言葉ごとの意味も理解できないことが多くありましたが、本症例検討会で少し理解できました。」

「人間作業モデルの評価法を複数用いて、対象者の全体像を捉えていたところが勉強になりました。」

「昔勉強したけど難しくて各用語の意味が分からなかったけど、かみくだいて説明いただき、なんとなく理解できた気がします。」などの意見がありました。

 今回は症例検討会の発表は業務時間内の30分という短い時間で行いました。
 急性期リハ部のメンバーに短い時間でも人間作業モデルに興味をもち少しでも学んでみたいという気持ちを持ってもらえたきっかけになったのではないかと思います。最近、4月に入職した中途入職者の方の協力があり、時間外ではありますが自主的に勉強会を開催する機会が増えています。この風潮が続き、みんなが作業療法士(OT)としてやりがいを持って今後も働いていってほしいと思っています。


 


 

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