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呼吸リハビリテーション 「ウィーニング」に向けて
【2022-01-19】カテゴリー:PTの仕事、POSの本音

 今回は、「ウィーニング」が行え、車椅子に座り経口で食事が摂れるようになった方の話をしたいと思います。




 「ウィーニング」とは?
 定義として人工呼吸器からの離脱、つまり器械による強制換気から自発呼吸に慣れさせる訓練への移行プロセスのことをいいます。
(出典:ナース専科https://knowledge.nurse-senka.jp/203703)

 嚙み砕いていうとすれば、人工呼吸器を使用している状態から、徐々に人工呼吸器の設定を変えて、器械の力から自分の力で呼吸してもらうようにしていくことを言います。




 人工呼吸器自体の操作は医師が行いますが、リハビリ療法士は人工呼吸器が外せるように身体を整え、また人工呼吸器をつけている間に身体が固くなったり、筋肉が落ちてしまったりしないようにしていくことが目的で介入していきます。


 一般的なウィーニングの流れは下図のようになります。



  (出典:ナース専科https://knowledge.nurse-senka.jp/203703)



 *A/C、*SIMV、*PS、*CPAPは人工呼吸器の設定で、器械による強制的な換気から徐々に自発呼吸が行えるように人工呼吸器の設定変更を行いながら、リハビリ療法士はその設定変更に合わせて痰を出す介助や練習・体位変換を行っていきます。



 <人工呼吸器には大きく分けて2つのパターンがあります>

 TV等で人工呼吸器をつけている方を見たことある方は想像しやすいかもしれません。

 人工呼吸器をつけるのに大きく2つのパターンがあります。

 一つ目は、口から管を挿入する。

 二つ目は、喉の部分を切開して管を挿入するというものです。

 どちらもしんどそうですよね。そのためほとんどの方は麻酔をかけて眠ってもらいます。これを鎮静または、セデーションと言います。この鎮静をしておかないと人工呼吸器の管を抜いてしまう人もおられます。管を抜いてしまうと、呼吸ができなくなり命にかかわります。鎮静することは患者さんにとって、安全ともいえます。




 *このイラストは喉の部分に器械がついているので気管を切開して人工呼吸器を使用している状態になります。



 <私の体験事例>

 私が担当していた患者さんも鎮静を行っていました。

 人工呼吸器を外すためには、人工呼吸器の設定を変え、自分で呼吸してもらうように薬の量も減らしていきます。麻酔薬の量を減らしていくわけですので、徐々に意識も戻ってきます。完全ではないにしろ意識が回復していく中で、患者さん自身は、呼吸器をつけていることや、なぜ呼吸器が必要なのか認識できていません。



 寝たきりで動けない状態で口から異物が入っているのを認識したとき、人はどんな行動すると思いますか?

 不快な状況を少しでも改善しようと、身体を動かし管や点滴のルートを抜こうとしてしまうのです。

 色々な管がついている状態で管を無理に引っ張ったり抜いたりすると、身体の他の部分を傷つける可能性が高くなるので、治療の中では予防のために特に抑制が必要となります。しかし、患者さんとしてはなぜ動けないのかという気持ちから興奮状態となり、症状が悪化してしまう可能性がでてきます。そこで今回私は、一般的な呼吸リハビリと言われるもの(*コンデショニング、*排痰、*体位変換)だけでなく、安楽に過ごし気持ちを落ち着けることも考えて訓練を行いました。

 方法としては、管が少しでも当たらないように姿勢の調整、緊張している部分をほぐす、徐々に意識が戻ってきたときは今の状況を説明するといったことです。

 リハビリ介入を続けていくと、リハビリ中は身体を動かしたりされず落ち着いた状態で過ごすことが出来、人工呼吸器を外すことができました。そして、患者さんもおぼろげながら人工呼吸器をつけていた時のリハビリを覚えておられ、その後のリハビリも積極的に行ってくださいました。リハビリをするうえで知識や技術的なことを更新していくことは重要ですが、患者さんとの信頼を創っていくことがより重要になることを改めて認識した一例でした。



 リハビリはリハビリ療法士が行うのではなく、患者さんと共に行うものです。

 これからも患者さんと一緒に協力していこうと思います。

 長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。



<用語説明>

*コンデショニング:効率的な運動療法を行うために身体状態を調整し、運動中の呼吸困難をコントロールできるようにするもの(出典:https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/news_report/business_news/6146/)



*排痰:痰を出すための方法



*体位変換:異なる体位に(他動的に)変更すること(出典:人工呼吸 第 27 巻 第 1 号 64 〜 67 頁(2010 年))



*A/C:全ての1回換気が人工呼吸器の決めたパターンで換気されること(出典:これならわかる!人工呼吸器の使い方 讃井將満 ナツメ社)



*SIMV:人工呼吸器が患者の自発呼吸を感知し、患者の吸気開始に同調して強制換気を行うモード(出典: これならわかる!人工呼吸器の使い方 讃井將満 ナツメ社)



*PS:自発吸気の時間内にあらかじめ設定された圧で吸気を補助するもの(出典:これならわかる!人工呼吸器の使い方 讃井將満 ナツメ社)



*CPAP :自発呼吸に**PEEPを付加したモード



**PEEP:呼気終末陽圧のことで自発呼気に圧をかけることによって虚脱しやすい気道肺胞を、常に陽圧に保ちます(出典:これならわかる!人工呼吸器の使い方 讃井將満 ナツメ社)



<文責>理学療法士A

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