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急性期作業療法のやりがい
2021-12-13【カテゴリー】OTの仕事/リハビリ部 部長より

東大阪病院 急性期リハビリテーションでの作業療法の仕事
 当院急性期でのリハビリテーションの主な対象者は、骨折などの整形外科疾患肺炎や脱水症腎不全がんなどの内科系疾患で入院加療とリハビリテーションが必要になられた方です。加えて、緩和ケア病棟に入院されている方、整形疾患での外来通院が必要な方です。


 特に最近では、東大阪病院は年間3000件以上の救急患者さんを受け入れるようになり、急性発症後の患者さんにかかわることが多くなっています。また、がんの患者さんへのかかわりにも力を入れています。


 リハビリテーションの処方は、入院直後に必要性を検討し処方されます。整形外科では手術の前に、指導と評価介入を行い、内科系の疾患の方でも治療と並行して関わります。入院翌日には、多職種で退院に向けてどんな援助が必要か話し合い(カンファレンス)も行います。

 医師が、痛みや発生する症状への対処、そして全身状態の管理を行う中で治療を行っていきますので、整形外科の手術法やその後療法に関する知識、各種内科疾患の治療の知識、薬について、カルテから先生の考えや治療状況を読み取ることなどなど…、あらゆる知識が必要になってきます。実際の訓練場面では、点滴やモニターなどの様々な機器がある中で、必要な動作の獲得を目指したり、環境を整えて認知機能の混乱を最小限に抑えたりと専門的な技術が求められます。


作業療法士がかかわる意味
 作業療法士(OT)は、生活の大切なルーティーンが崩れること・脅かされることが、人の人生にどんな影響があるのかを学んでいる職種です。生活動作の支援に加え、崩れた生活を取り戻すことや再構築する必要性を知っている人が治療に関わるチームにいることに意味があるのではないかと思っています。また、その対象者の大切にしていることを見極めることが得意な職種でもあり、その大切にしていることや意欲につながるような支援を行いやすくできることにも意味があると思います。
 入院生活は、患者さんにとって大きな身体的・精神的混乱の中での生活であることが多いです。骨折や病気によって、体の自由が制限されて、苦痛が生じる上に、今まで行っていた生活でのルーティーンを大きく変化させられる体験といえるのではないでしょうか。入院生活では相部屋のことも多く、この生活は見知らぬ人たちとの共同生活とも言えます。食事や入浴なども、自宅での生活とは大きく異なることが多いです。多くの患者さんにとって、トイレや食事といった今までなんなく自分で自由にできていた事の多くを、看護師に依頼して手伝ってもらわなくてはいけなくなり、頼んでいいと分かっていても精神的にも負担が生じます。残念ながら、入院生活で食事を提供する時間や入浴回数などを自宅での生活のように変更するなどできないこともありますが、作業療法士がかかわることで、患者さんの入院中の生活環境を、心身の状況に合わせてご自分でできる方向に速やかに変更でき、活動しやすい状態に整えることができます。
 作業療法士は、患者さんが困難になった動作を獲得するための最短ルートを、身体や認知機能両方の観点から導くことが得意です。また、生活や人生の中で大事にしていることを把握することで、リハビリや生活への意欲を引き出したり、退院後の生活支援にあたってどの動作を優先的に獲得すべきかの順位やポイントをつかむことができます。

急性期作業療法のやりがい

 急性期の作業療法のやりがいは、「入院という非日常をいかに短くし、二次障害を予防、対象者の持てる能力を引き出し、最短期間でやりたい活動や生活を獲得できるか」、その中で「患者さんの人生をより輝かせる機会にできうるか」というところにあると思っています。
 急性期では、まずセルフケアといわれる、食事やトイレ、整容といった動作の獲得を目指すことを患者さんご自身も希望されることが多く、生活に復帰するためには必要なことでもあるので訓練の目標として設定することが多いです。このため、「どの人にも同じようなことをしている」ように思えて、若い作業療法士の中には、ただ毎日が同じことの繰り返しで専門性や魅力が感じられなくなる方も多いように思います。
けれど、一見似たようなことであっても、患者さんおひとりおひとりへの訓練のデザイン(声掛け、設定、行う手段など)は異なり、機能を獲得できた先の行いたい生活も異なっています。それがどんな生活かを見つけたり、引き出すのは作業療法士(OT)が得意とするところで、短い期間で円滑に目標を達成できた時、患者さんの思いを叶えられた時の達成感は、なにごとにも代えがたいものです。また、先生方の治療に合わせて、潜在能力を予測しつつ、あうんの呼吸で機能改善を引き出し、ご本人が叶えたい日常生活動作のレベルアップをすみやかに獲得できた時は本当にうれしいです。
 
 
<<事例1>>
 ある患者さんで、先生からは動作の制限はなくどんどんリハビリを進めてOKと指示をもらっていた方でしたが、リハビリ開始2日目、生活動作の練習をしたくても、血圧が高すぎてまったく訓練ができない方がおられました。先生が血圧のお薬をだしておられたのです(血圧を高めにコントロール中)が、訓練後、先生に状況報告をするとすぐ、お薬の調整をしてくださり、必要な負荷の訓練が可能になって、みるみる動けるようになり数日後には退院していただくことができました。その方は、ずっと一人暮らしをされていて、なるべく人に頼らずに生活したいと願っておられた方で、その信念や生きざまは素晴らしく、何としても早く元の生活にもどしてあげたいと思いました。


<<事例2>>
 認知機能低下のある方で、骨折・手術をされてリハビリ中でした。その場でのやり取りは可能で、記銘力※や見当識は低下しているのですが、エピソードの記憶はしっかり残っておられるタイプの認知機能低下のある方で、痛いことや嫌だった体験はしっかり覚えておられるという状況でした。多職種で情報共有し、術後は寝たり起きたりする際や、立つ動作にも痛みを伴うのですが、なるべく痛みを出さないようにし、嫌という活動は無理強いせず、許容できることを積み上げて、結果的には必要な動作ができるようになられ、ご高齢でしたが、1週間程度で車椅子への乗り移りがご自分でできるようになり、元の施設に戻ることができました。




 最近では、求職中の作業療法士や新人作業療法士が、ゆっくり患者さんと関わりたいからという理由で回復期(回復期リハビリテーション病棟)への配属を希望されることも多いです。回復期もやりがいは多いですが、急性期もやりがいがあります!今回はお伝え出来なかったですが、がんの患者さんがいらっしゃる緩和ケア、外来作業療法のやりがいもお伝えできたらと思います。 

最後までお読みいただきありがとうございました。 

*無断転載禁
文責:作業療法士 椎木
   企画部 アベ

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