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頸椎症性脊髄症への作業療法について、勉強会を開催しました!
2024-5-11【カテゴリー】OTの仕事

リーダーブログチームの作業療法士Kです。 

今回は、作業療法部門勉強会についての報告です。

テーマは上肢機能

特に、頸椎症性脊髄症の患者さんへのアプローチに絞って発表をしました。

頸椎症性脊髄症への作業療法

頸椎症の方は、運動麻痺・感覚障害等の治療で難渋することが多かったので、介入の視点やアプローチの幅を広げる必要があると感じていました。 

内容を大きく分けると

 ① 頸椎・頸髄の解剖
 ② 運動・知覚の伝導路
 ③ 頸椎症の病理と予後
 ④ 上肢への治療(神経筋再教育・IVESを用いた治療・知覚再教育) 
 ⑤ 症例紹介 

です。 

頸椎・頸髄の解剖、伝導路に関しては、灰白質・白質を細部まで分析し、頸髄の狭窄・圧迫などでどの部位にストレスがかかると、どんな症状が出るのか考えやすい様にまとめました。
上肢へのアプローチには亜脱臼や痙性のある方への電気治療の考え方や導入方法、筋肉をしっかりとらえられるように実技を交えて、触診、IVESでの低周波治療のデモンストレーションを行いました。リーチングに課題がある方を想定し、三角筋と上腕三頭筋に電極を装着し、リーチングをアシストしてくれることを期待した治療内容を勉強しました。 

(IVES治療場面の練習の様子) 
ボタン操作訓練

知覚再教育は、必要な評価、重症度による再教育プログラムなどをまとめました。

 

知覚再教育の訓練場面

知覚再教育については、作業療法の事例集での検索でも新しい感覚障害のアプローチは、なかなか見当たりませんでした。知覚に関する治療は、伝導路の障害部位により障害を受ける知覚モダリティが異なり、残存知覚によって代償される可能性があるため、リハビリテーションの分野でも研究が遅れた背景があることが分かりました。
今回は、そういった背景の伝達と触覚の回復が見込める場合と見込みづらい場合でのプログラムの選択等を学びました。

今回の勉強会は、半年以上前から担当した5人のメンバーで相談しながら実施してきました。その中で、さらに2班に分かれて、解剖学中心のチームと上肢へのアプローチ中心のチームに分かれて各自が文献や過去の学会内容などを調べて月に一度全体で集まって相談して進めてきました。
目的とする文献が見つからなかった場合は、他の人が調べてみる等互いにフォローしながらすすめました。最終的に、十分な情報を探しきれなかった部分もありましたが、今後の課題として取り組んでいきたいと思います。 

勉強会では、頸椎症性脊椎症の病状の理解と評価、アプローチについてチーム内でまとめて発表しました。当院には回復期リハビリテーション病棟があり、今回勉強会のテーマとなった症状を有した患者さんが入院されることが多いです。

頸椎症への作業療法勉強会後・・・

 勉強会後、感覚障害により日常生活動作の一部に介助が必要な方を担当させていただきました。その介入の一部をご紹介します。

 患者さんは、手の触覚障害があり着替えの際、衣服のボタンをつまみ損なう事が多かったため、介入当初は介助が必要でした。そのため作業療法では知覚再教育、実動作練習を実施し、更衣動作の自立を目指しました。

 リハビリプログラムとしてはボタンをつまむ際に接触する親指~中指を中心に感覚を入力する事(粗さの異なるやすりの識別)やセラプラスト(治療用の粘土)を使用しつまむ動作の安定性向上を図りました。

 実動作練習ではボタンを目で見れるよう、机上で行う事から開始し、動作の達成度が向上すれば着衣した状態で練習するなど、段階付けを行いながら介入しました。
1~2カ月間介入し、手指の触覚障害はやや改善され、ボタン操作がご自身で行えるようになりました。

 患者さんは入院直後は「帰ったら家族に手伝ってもらいます」とおっしゃっていましたが、実際に自分でできるようになった後は「やっぱり自分で出来た方がいいですね」と着替えができるようになった事を喜ばれていました。

 今後も勉強会で学んだことを臨床に活かしながら、患者さんの状態に合わせてリハビリを提供していきたいと思います。

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社会医療法人有隣会 東大阪病院

リハビリテーション部
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文責:作業療法士 リーダーK
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2024年5月11日改訂

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