リハビリテーション部(急性期所属)の2年目作業療法士の成長について話をしたいと思います。
リハビリテーション部の2023年度の新入職員は、PT・OT・STで男性作業療法士(以下、Aさん)一人であり、他部署から「一人で大丈夫かな?」「不安じゃないのかな?」との心配の声がありました。
Aさんも不安に思っていたかもしれません。
当院のリハビリテーション部の作業療法士は、私が言うのも・・・ですが、みんな物腰が柔らかく、優しい人しかいません。
Aさん自身は持ち前の明るさと人懐っこいキャラクターの持ち主であったということもあり、すぐに溶け込んでいったように思います。
当院では入職後、3カ月に1回、面談を行います。その中で、1回目の面談の時にAさんから「初めは一人で不安な気持ちはありましたが、最近は先輩を独り占めできるというか、話を聞いてもらえるから逆に良かったのかな?と考えています」と話してくれたのを今でも覚えています。
そのAさんが現在どのように成長しているのか、当院の共育システムを少し説明しながら話をしたいと思います。
当院での新人共育(指導者も一緒に学んでいって欲しいという意味を込めて、教育ではなく共育という字を使用しています)は、入職時に臨床上必要な基礎知識の勉強(循環器・呼吸器・脳血管疾患・がんと緩和ケア)とテストを行います。合格してから実際に副担当や主担当へと進んでいきます。その他に必須推奨プログラムといって、専門的な知識について学ぶ研修会があります。OT絶対参加の研修として、生活行為向上マネジメント(MTDLP)、COPMとADOCがあります。その他にも触診や呼吸リハや栄養などの勉強会があり参加自由となっています。研修会とは別に先輩療法士の治療見学、先輩療法士によるSV(臨床指導)、があり、実際に先輩療法士の担当患者さんの代行診療へと繋がります。その後、副担当を経て主担当となります。
Aさんは整形外科・外科病棟担当となり、主に大腿骨頸部骨折や転子部骨折、脊椎圧迫骨折の患者さんを担当していきました。臨床推論を学ぶ機会として症例検討会を1年目の作業療法士は年に3回行います。PowerPointでスライドを作成し発表を行います。まとめる作業は一人では難しくアドバイスなどが必要なことが多いため相談役として先輩療法士が対応します。1回目の発表では自分の言いたいことがまとまらず、何を伝えたらいいのか定まらず先輩療法士と一緒に悩んでいた姿がみられました。けれどもAさんは、先輩療法士とのやり取りの中で、先輩療法士がどんなことを考えて患者さんと関わっているのか、自分との違いを知り、先輩の凄さがわかったようです。のちの面談で「先輩の凄さと自分の課題がわかりました。もっと頑張ります」と話してくれました。その後積極的に学ぼうとする姿勢が増えました。また面談でも「もっとチームの一員として頑張りたい」など先輩の力になっていきたいと話してくれました。
2回目の症例検討会では、研修会で学んだ、生活行為向上マネジメントを使用しまとめた発表をしてくれました。3回目の発表では人間作業モデルを使用した発表をしてくれました。個人で湘南OT交流会に入会し、そこで得た資料を参考にしながら発表スライドを作成していました。そこには作業療法士として専門性を活かすために学び、それを発信しようとする前向きな姿がありました。
当院のリハビリテーション部には、認定作業療法士が2名(他にも認定作業療法士取得を目指している作業療法士2名)、生活行為向上マネジメント実践者研修修了者2名、AMPS認定評価者3名、がん・緩和関連の研修会や学会に参加を継続している療法士など作業療法の専門性を学んでいる作業療法士が多くいます。そういった先輩作業療法士の姿を見て自分もそうなりたいと考え実際に勉強し成長に繋がっていったのではないかと思います。
2年目になった時には、「橈骨遠位端骨折の患者さんの治療を勉強したい」と話してくれ、実際に見学やSVを重ね、現在担当を任せるに至っています。
Aさんの学ぼうという姿勢、実際に症例検討会の時に使用するなど形として残そうとする姿勢はAさんだけの成長だけでなく、他の職員にもいい刺激となり好循環に繋がります。そういった環境が今後も続くように影ながら支援できればと思っています。
現在、新病院に移転後、救急件数の増加や入院期間の短縮化などの影響から、新規患者さんの数が増加しています。また6月から、リハビリ栄養口腔連携体制加算算定への取り組みを開始しています。また、おめでたいことに妊娠し産休に入った職員もいます。そういった影響があり、リハビリテーション部では中途採用の作業療法士の求人を行っています。当院に少しでもご興味がある作業療法士の方はご連絡をお待ちしています。
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