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PTB(Patella Tendon weight Bearing)装具について
2023-1-16【カテゴリー】PTの仕事

 当院では「橈骨骨折」、「上腕骨骨折」、「鎖骨骨折」、「大腿骨頚部骨折」、「脛腓骨骨折」、「脛骨高原骨折」、「足関節骨折」など上肢・下肢を問わず色々な種類の整形疾患に関わっていきます。その中で下肢骨折をされた方の中に「PTB(Patella Tendon weight Bearing)装具」を処方され、リハビリ介入していく方がおられます。

 「PTB(Patella Tendon weight Bearing)装具」とは、骨折した脚でも正常歩行に近い歩行を可能にしてくれる装具のことです。

 今回はこの装具を使用した患者さんへの理学療法について紹介します。

①「PTB装具」とは?
  PTB装具を日本語で言うと「膝蓋腱支持式免荷装具」といいます。
  膝蓋骨(膝の皿)の下にある膝蓋靭帯部分を前方から押さえてひっかけ、膝より下の部分を宙釣りの状態にすることで体重がかからないようにするための装具です。
  脛腓骨骨折、脛骨高原骨折、足根骨骨折などの膝から下の骨折時の治療に処方されることが多いです。
  「PTB装具」は使用される方の骨折状況や治療方針、生活様式等で医師が決定していきます。また症状によって免荷~部分荷重に調整していきます。

※画像のPTB装具はその一例です。

②リハビリで「PTB装具」使用してみて 
 今回転倒して「脛腓骨骨折」を受傷し、「PTB装具」を使用された患者さんを担当しました。受傷部位の影響で手術後6週~8週免荷しなければならず、早期退院及び職場復帰の為に「PTB装具」が処方されました。ただ、この方は腫れがひどくて腫れが落ち着くまで採寸ができず、作製まで時間を要しました。その間のリハビリとして、腫れ痛み軽減・関節可動域改善・筋力増強・日常生活活動改善目的で介入していきました。すぐに装具を作製できる方や作製できない方もおられるので、患者さんの状態に合わせたリハビリプログラムを行っていく事が必要です。この方のリハビリは腫れや痛みの影響もあり、受傷した脚全体の力が入らず、筋肉の収縮感覚を感じてもらう事から始めました。実際に大きなケガを経験された方はイメージできるかと思いますが、ケガをされると力の入れ方が分からなくなる方は結構おられます。患者さんによっては弱い電気を筋肉に流して、筋肉の収縮を促す事もあります。          
 この患者さんが「PTB装具」を初めてつけた感想として、「PTB装具がズレないかな」、「脚に体重を掛けて骨は大丈夫かな」、「思っていたより重いな」、「締め付けられるな」、「なんか怖いな」といったことを言われていました。今まで経験した事のない物を脚につけるので、多くの患者さんが違和感を訴えられます。また、着け方があっているか、かなり心配されたので、業者さんからの説明だけでなく、リハビリの中でも着け方の練習を行いました。しっかり装着できているか心配される方は多いので、学生の方やあまり装具を使用したことがない若手の方は装具の着け方はしっかりと勉強しないといけません。
 また骨折した脚は動かす量が少なくなってしまうので、筋肉が落ちて見た目にも細くなっていきます。その為、筋肉が落ちないように自主練習を指導していく事も重要になります。自主練習を行ってくれるかどうかでも入院期間が変わりますので、しっかり自主練習の重要性を伝えて下さい。
 片脚免荷での松葉杖歩行は元気な方でも難しいです。「PTB装具」を装着しての松葉杖歩行は両足が地面に接地できるので、この方は2~3回の歩行練習を行うことで自立することが出来ました。やはり両足が地面に付いているというのは重要な事だと実感した次第です。

 患者さんそれぞれ感じ方が違うと思いますので、実際に使用される時はしっかりと着け心地感や心配点を聞いていき調整、練習をしていくことが重要です。

長文となりましたが、最期までお読みいただきありがとうございます。

※参考「PTB装具」装着時の荷重部分、メリット・デメリット 
 骨は免荷期間が長くなると、骨自身はくっついて治癒しても痛みがでてしまうことがあります。その為、骨の治癒状況に合わせて免荷(体重をかけない)・部分荷重(体重の何割かのせる)・全荷重(全体重をかける)といった感じで徐々に荷重をかけていく練習をしていきます。 
 主に荷重をかけているのが、「膝蓋靭帯」と「脛骨内側顆部」でかなりの割合支えています。逆に荷重をかけてはいけない部分が「脛骨粗面」、「脛骨稜」、「脛骨顆部の前面」、「腓骨頭」、「ハムストリングス走行部」になります。

 装着時のメリットとして、骨折した部分に体重をかける心配が無いので、慣れれば何も持たなくても歩けることです。歩けることで筋力低下や持久力の低下予防になります。そして早期に退院することが可能になり、社会との関わり(復職等)が保てます。

 装着時のデメリットとして、骨折した脚にある程度の大きさの装具を装着するので、重さや見た目が気になる方がおられます。また反対側のケガをしてない脚にも左右の高さを調節する為、厚底靴になるので、慣れていないと違和感を覚える方もおられます。 

 PTB適応の方は基本的に免荷・部分荷重になります。PTB装具を使用しないで移動する場合は、免荷・部分荷重で移動しないといけないので車椅子を使用するか、両松葉杖で歩行する事になることが多いと思います。車椅子・片側免荷での両松葉杖歩行ともに移動することは可能ですが、車椅子は場所を取られる・小回りが利きにくい、片側免荷で両松葉杖歩行は脚の代わりに腕の力で支えないといけないのでかなり体力を使ってしまいます。その為、体力の無い方は活動範囲を広げるのに壁になることが多々あります。そこでPTB装具を使用すると両足を地面につけることが出来るので安心感、疲れ方が変わり自然と行動範囲が広がります。 
 歩行のバリエーションとして「両松葉杖」、「片松葉杖」、「松葉杖なし」があります。しかしPTB装具を使用される方の大部分は、PTB装具と松葉杖を併用して移動することになると思います。それぞれの歩行の仕方の特徴をあげます。 
 「両松葉杖」は、左右に松葉杖を持つためバランスを保ちやすく歩行が安定しやすいです。ただ両手が塞がってしまうので荷物はリュックサック等を使用しないと歩きにくくなってしまいます。
 「片松葉杖」は、片手が空くので活動しやすくなります。しかし、左右のバランスが崩れ偏った姿勢になり易くなってしまい、身体のどこかに痛みが出現や、疲れが出たりします。
 「松葉杖なし」は、両手が使用できますが、装具の重さを実感しやすく姿勢も崩れやすいです。
このような理由でほとんどの方は、両松葉杖歩行をされる方が多いと思います。

参考文献:画像①②③https://nazenani-sougu.com/kokushi/post-511

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