当医療法人は、毎年、年度初めに今年度のビジョンと基本方針を発表しております。第52期（平成25年度）のビジョンは「ケア力が高いと評価される医療法人を目指す」と謳いました。バランス・スコアカード（ＢＳＣ）※を経営ツールとして採用している中、ビジョンとは、噛み砕いたいい方をすれば「近い将来なりたい姿」といえます。今期で開院62周年目を迎えた当院は、老舗旅館のようにおもてなしの心（ホスピタリティ）を育んでまいりました。医療の進歩に伴い細分化され病気だけが注目され、その治癒だけに医療が向かっているなか、また、診療報酬も病気に対して支払われる医療行政の中、取り残されているのがケアです。ケア力とは何でしょうか。人が病気になった時、その病気が治癒（キュア）した時その人は健康を取り戻したでしょうか。身体的にはそうかもしれませんが、罹患したことに伴う精神的、社会的修復がまだなされていないかもしれません。ましてや治癒が望めない、治癒しても以前の身体的健康状態に戻れない人々の精神的、社会的修復が充分になされずにいることは想像に難くありません。そうした身体的、精神的、社会的修復を罹患した時から手助けする力がケア力だと考えます。その規範となる病棟としてこの度、平成21年から5年間の準備期間を経て緩和ケア病棟を開設いたしました。長年育んできたおもてなしの心（ホスピタリティ）を持ってケア力が高いと評判の医療法人を目指して職員一同頑張っていく所存です。