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理念を実践しています ~救急医療の充実~
2020-3-4【カテゴリー】質向上への取り組み

東大阪病院 看護部 外来師長のSですおねがい
 

厚生労働省は、1977年から ‘初期患者のたらい回しの防止対策’の取り組みとして

一次・二次・三次救急に分け救急体制を整備しましたが、救急出動件数は2006年から

2016年の10年間で約97万件(約19%)、搬送人員は約76万人(約15%)と救急利用者数は

増加傾向にあります。

近年は二次救急医療機関が減り、三次救急医療機関が増加している状況でありますが、

二次救急に出動件数の75%、三次救急に25%の割合で搬送されます。

搬送後8割程度が帰宅患者であり、入院患者は2割程度といわれ、現在、救急利用は

軽症者や自己都合、緊急性が低い患者の要請も多く、救急利用の不適正化が示唆されて

います。

地域医療の中核的役割である二次救急医療機関への要請が今後もさらに増加することが

予測でき、私が勤務している東大阪病院も二次救急医療機関であり、救急医療の現状、

高齢社会、救急車の適正利用、更には救命率向上、三次救急との連携体制など、多くの

課題がある中で、救急医療の向上に取り組んで行かなければならないと思っています。

当院の救急医療を振り返ると、11年前私が入職してからの数年間は、救急搬送実績数が1100件程度で、救急要請が少ないと感じていたが、2016年より救急搬送実績数は増加傾向

にあります。

2018年度は2857件と2.5倍強の救急搬送実績数となり、2019年度はさらに増加し、3000件

以上の救急搬送件数となる見込みです。

当院では近年、医師、他部署との協力体制により看護師が主体となり救急連絡を受けて

おり、救急隊との連携を図るため救急担当看護師を決め、救急体制の強化を行いました。

同時に体制だけではなく救急看護の視点から、救急隊に選んでもらえる病院、質の良い救急看護を目指しましたが、当初は厳しい現状も度々でした。

師長になりたての未熟な私も含め、スタッフとの二人三脚の始まり、重症患者に遭遇した時、処置に戸惑いスムーズな介助ができず、医師からも指摘を受けたこともありました。

質の改善を目指し、救急隊からの信頼獲得を目的とし、医師と救急チームを発足することで救急チームが主体となり、今ではトリアージミーティングを開催、シュミレーション勉強会を

年に数回実施、毎月部署ミーティングでは座学勉強会を今でも実践しています。

救急医療看護に向けて部署全体が一致団結し、看護師本来の役割である看護に目を向け、救急隊との連携強化、迅速で断らない姿勢で日々取り組んで来ている結果が数字として

大きく見えたのだと考えています。

二次救急医療機関としての役割を担い受入れ体制の強化を継続していく中で、受け入れが

決まらず、病院に搬送されるまで1時間もかかり、患者さんが苦痛を訴えられるという例も

依然としてあります。

また搬送後に重症・重篤化した患者さんの三次救急の受入れ病院を探すのに時間を要し、

それが他の救急要請を断りに繋がる場合もあります。

救急隊員からも診断に迷う困難症例や妊婦、透析治療されている方等の搬送先が決まらず苦労されているケースが多くあると聞きます。

現在の救急医療にはまだまだ課題は多くあります。

救急医療は、事故や急病による傷病者に対して行う医療であることを正しく理解して頂き、

適正な救急利用をされることを願います。

看護師として一人・一つの命の尊さを受け止め、一番先に連絡がもらえるような病院を

目指し、救急看護に今後も精進していきたいと思っております。