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脳梗塞とは? 
初期症状のサインと原因、治療法・予防のポイント

その他内科疾患

公開日:2026-05-27 / 更新日:2026-05-27

脳梗塞の初期症状(顔のゆがみ、手足の麻痺、ろれつが回らない等)や原因、最新の治療法を専門医のガイドラインに基づいて解説。

発症後4.5時間が鍵となる超急性期治療(t-PA・血栓回収療法)から、後遺症のリハビリ、再発予防まで網羅しています。

脳梗塞は、脳の血管が狭窄または閉塞し、血流が途絶えることで脳組織が虚血性壊死(血液不足によって脳細胞が死んでしまう状態)に陥る疾患です。

英語では Cerebral InfarctionIschemic Stroke と呼ばれ、日本語では「虚血性脳卒中」とも表現されます。

主な症状として、突然の顔面麻痺、手足の麻痺、構音障害(ろれつが回らない状態)などがみられます。

高齢化に伴い国内の患者数は増加傾向にあり、多くの方が悩まれている病気です。

この記事では、脳梗塞の定義から主な症状、原因、受診すべき診療科、治療法までをわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、いざという時の適切な対応や、日常生活での予防策について理解を深めることができます。

脳梗塞とは?定義とメカニズム

脳梗塞とは、脳へ酸素や栄養を送る血管が何らかの原因で詰まり、血流が途絶えることで発症する病気です。

血流が止まると、脳の神経細胞は短時間で深刻なダメージを受け始めます。

脳梗塞は発症のメカニズムによって、主に以下の3つに分類されます。

  • ラクナ梗塞:脳の深部にある細い血管が傷んで詰まるタイプ
  • アテローム血栓性脳梗塞:脳や頸部の太い血管に動脈硬化が起こり、血栓が形成されて詰まるタイプ
  • 心原性脳塞栓症:心臓内でできた血栓が血流に乗って脳へ運ばれ、太い血管を塞ぐタイプ

脳梗塞の主な症状チェックリスト

脳梗塞の症状は、ある日突然現れることが特徴です。

以下の症状が1つでもみられた場合は、脳梗塞の可能性があり、ただちに救急車を呼ぶ必要があります。

・顔の片側が動かない(顔面麻痺):笑顔がうまく作れない、口の片側から水がこぼれる
・片側の手足のしびれや麻痺:力が入らない、箸を突然落とす、急な脱力感がある
・言葉の障害:ろれつが回らない、言葉が出にくい
・その他の症状:突然のめまい、ふらつき、まっすぐ歩けない

これらの症状を見分ける指標として「FAST(ファスト)サイン」が知られています。

Face(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)の異常を確認し、Time(発症時刻)を記録して速やかに受診することが強く推奨されます。

また、「ろれつが回らなかったがすぐ治った」「手足のしびれが短時間で消えた」という場合も注意が必要です。

これは一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、本格的な脳梗塞の前兆である可能性があります。

TIAは症状が一時的である点が脳梗塞との違いですが、症状が改善しても決して放置せず、早急に医療機関を受診することが重要です。

脳梗塞の原因とリスク要因

脳梗塞の主な原因は、動脈硬化による血管狭窄や、心臓内にできる血栓です。

これらを引き起こすリスク要因として、以下が知られています。

  • 高血圧:
    血管に高い圧力がかかり続け、動脈硬化を進行させる最大の要因です。
  • 糖尿病・脂質異常症:
    血管が傷つきやすくなり、動脈硬化を進めます。
  • 心房細動・心臓弁膜症:
    心臓内に血流のよどみが生じ、血栓が形成されやすくなります。
  • 生活習慣:
    喫煙や過度の飲酒は血管に大きな負担を与えます。
  • 水分不足:
    脱水状態では血液が濃縮され、血栓形成リスクが高まります。
  • 加齢:
    年齢を重ねること自体も重要なリスク要因です。

公的統計では、脳血管疾患は加齢とともに急激に増加し、特に70代以降で顕著になる傾向が示されています。

出典:脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握:日本脳卒中データバンク「日本脳卒中データバンク報告書2025」

脳梗塞の検査と診断
何科を受診すべきか

突然の麻痺や言語障害が現れた場合、「何科を受診すべきか」と迷う時間はありません。

脳梗塞が疑われる際は、一刻を争うため、ためらわず救急車を呼ぶことが重要です。

受診先としては、救急科、脳神経外科、脳神経内科が適切です。

病院では、神経学的診察(麻痺や意識状態の確認)に加え、以下の検査が迅速に行われます。

  • MRI・MRA・CT検査:
    脳梗塞の有無や閉塞血管、脳出血との鑑別を行います。
  • 血液検査:
    脱水、血糖値、脂質異常などを確認します。
  • 心電図、ホルター心電図、頸動脈エコー:
    心房細動や動脈硬化の有無を調べ、原因を特定します。

脳梗塞の治療法

薬物療法とその他の選択肢

脳梗塞の治療は、発症から治療開始までの時間が短いほど、後遺症を軽減できる可能性が高くなります。

特に超急性期治療が非常に重要です。

薬物療法

発症後4.5時間以内に行われる代表的治療が「t-PA静注療法(アルテプラーゼ)」です。

これは血栓を溶かす薬を点滴投与し、閉塞した血管の再開通を目指す治療で、ガイドラインでも強く推奨されています。

そのほか、病態に応じて以下の薬剤が使用されます。

  • 抗血小板薬(アスピリンなど):
    血小板が固まるのを防ぎます。
  • 抗凝固薬(DOAC、ワルファリンなど):
    心房細動による血栓形成を予防します。
  • 脳保護薬(エダラボン):
    脳細胞障害の拡大を抑える目的で使用されます。

手術・その他の治療

太い血管が詰まっている場合には、「機械的血栓回収療法」が行われることがあります。

これはカテーテルを用いて脳血管内の血栓を直接回収する治療で、近年の脳梗塞治療において重要な役割を担っています。

また、急性期からリハビリテーションを開始することも重要です。寝たきり予防のための離床訓練や、嚥下訓練などが早期から行われます。

状態が安定すると、回復期リハビリテーション病院へ転院し、集中的なリハビリを継続することが一般的です。

脳卒中患者における病型別割合

出典:脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握:日本脳卒中データバンク「日本脳卒中データバンク報告書2025」

日常生活での注意点と予防・セルフケア

脳梗塞は再発しやすい病気であり、再発予防には日常生活の改善が不可欠です。

  • 血圧管理と減塩:
    家庭血圧測定を習慣化し、減塩を意識した食生活を心がけましょう。
  • 生活習慣改善:
    禁煙、節酒、適度な有酸素運動が推奨されます。
  • 水分補給:
    起床時、入浴前後、運動後などは特に意識して水分を摂りましょう。
  • 薬の継続:
    抗血栓薬は自己判断で中止せず、医師の指示通り継続することが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 後遺症はどこまで回復しますか?

A1. 回復の程度は、障害部位や範囲によって大きく異なります。

ただし、適切なリハビリを継続することで、生活機能の改善や生活の質(QOL)の向上が期待できます。

Q2. 血液をサラサラにする薬は一生必要ですか?

A2. 再発予防のため、多くの場合は長期内服が必要です。

自己判断で中止すると再発リスクが高まるため、必ず主治医に相談してください。

Q3. 車の運転は再開できますか?

A3. 後遺症の程度によります。

主治医の診断書が必要となることが多く、必要に応じて運転免許センターで適性検査を受けます。

Q4. 仕事復帰に利用できる制度はありますか?

A4. 後遺症によっては障害者手帳の取得や各種福祉制度の利用が可能です。

病院の医療ソーシャルワーカーへ相談することをおすすめします。

まとめ

脳梗塞の重要なポイントは以下の通りです。

  • 脳梗塞は血管が詰まり、脳細胞が障害される病気です。
  • FASTサイン(顔のゆがみ、麻痺、ろれつ障害)が出たら直ちに救急要請が必要です。
  • 発症後4.5時間以内であれば、t-PA治療を受けられる可能性があります。
  • 再発予防には、血圧管理や生活習慣改善、服薬継続が重要です。

脳梗塞は「時間との勝負」の病気です。

自分や家族に異変を感じた場合は、決して様子を見ず、速やかに専門医療機関を受診してください。

免責事項:
本記事は疾患に関する一般的な情報提供を目的としています。記載内容には万全を期しておりますが、その正確性・最新性を保証するものではありません。本記事の情報は医学的アドバイスの提供ではなく、実際の診療行為に代わるものでもありません。症状や体調に不安がある方は、必ず専門の医療機関でご相談ください。

文責
東大阪病院 脳神経外科 医長
河野 勝彦

【資格】

  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 京都大学博士(医学)

【所属学会】

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本リハビリテーション医学会