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腎臓リハビリテーション(透析患者さんのリハビリ) 腎臓リハビリテーション指導士を目指して
2022-12-16【カテゴリー】PTの仕事/その他


腎臓リハビリテーション(透析患者さんのリハビリ)をご存知ですか?
腎臓リハビリテーション指導士を目指して取り組んでいることをご紹介します。

 透析患者さんのリハビリとはどのようなことをするの?と思っている方もいらっしゃると思います。

まず、

 ①腎臓の役割のこと

 ②透析のこと

 ③腎臓リハビリテーションのことをお話します。


〈腎臓の役割について〉
 腎臓は体の中の老廃物を尿として体の外へ出す役割があることは知っている方も多いかと思います。その他にも、体の中の水分と電解質の調整、pHいわゆる酸性・アルカリ性の調節、ホルモンの調節(①血圧の調整 ②血液を作る ③骨を丈夫にする3つのホルモン)があり、わたしたちが生きてゆくために大切な働きを担っています。

〈透析について〉
 透析とは、正常に働かなくなった腎臓の代わりに体の中の老廃物や、余分な水分をろ過する治療のことです。透析には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。一般的に知られているのは血液透析のことで、ダイアライザーという機械(人工腎臓)で血液をろ過します。腹膜透析は自分の腹膜を利用してろ過します。血液透析を受けられている患者さんは週に3日、3~4時間透析をされています。

〈腎臓リハビリテーションについて〉
 みなさんはリハビリテーションと聞くと脳卒中のリハビリ、骨折などのリハビリを思い浮かべるのではないでしょうか。腎臓リハビリテーションはその名のとおり、腎臓の病気により障害を抱えた方のリハビリです。腎臓リハビリテーションの目的は腎臓病や透析患者さんが自分らしくいきいきと長生きできるように、心と体、そして生活の質を改善することです。その内容は運動療法、食事療法、水分の管理、薬による治療、病気や生活に関する教育、精神・心理面のサポートなどで、リハビリ療法士だけでなく、医師、看護師、薬剤師、栄養士などいろんな専門知識を持ったスタッフが関わります。

  

 腎臓リハビリテーションの運動療法の効果は、持久力の改善、筋力の増強、うつの改善、生活の質(QOL)の改善、死亡リスクの軽減が挙げられます。特に運動を日ごろから行っている方はそうでない方と比べ、生命予後が良いと言われています。

 運動療法の内容は

 ・有酸素運動:ウォーキングなどの運動

 ・レジスタンス運動:いわゆる筋トレ

 これらが推奨されています。患者さんの病状を考慮し、リスク管理を心掛けて行います。また、転倒予防のためのバランス訓練、必要に応じてトイレ動作、入浴動作、更衣動作など日常生活動作(ADL)の練習も行います。

〈事例:当院での透析患者さんのリハビリ〉
 当院には透析センターがあり、透析治療のため入院されている患者さん以外に、リハビリを希望され他の病院から転院されてくる患者さんもたくさんいらっしゃいます。
 私が関わった患者さんについてお話します。
 Aさんは70台前半の男性です。
 脳梗塞で他の病院に入院し、足の指の切断もある方で、リハビリ目的で当院に転院されてきました。脳梗塞の後遺症はほとんど無かったのですが、体力と筋力の低下がひどく、ベッドから起きて座る以外は介助が必要な状態でした。ご本人は「施設は絶対嫌。家に帰って生活する!」としっかりと意思を持っておられ、それを目標にリハビリを頑張っていました。
 少しの運動でも疲労するため、運動量の調節と、介入の頻度を多くして訓練を行いました。訓練内容は筋トレと有酸素運動です。最初は歩行訓練でも疲労で続けられなかったので、座って足踏みやペダルこぎなど反復練習を行いました。
 リハビリを続けて立位訓練ができるようになりましたが、足の指を切断していたため、バランス機能が低下していました。そこで最初は比較的安全なバランス訓練を行い、次第に片足立ちの練習を続けることで杖歩行がひとりで行えるようになりました。
 入院が長引くとストレスでイライラされることが多くなりました。そのため、対策として傾聴しご自身の言葉で話してもらい、看護師と協力しストレスを和らげる対応をすることで落ち着かれました。これにより、またリハビリに専念していただけるようになりました。

 透析患者さんの関わり方について以前、私が書いたブログがありますので興味を持たれた方は こちら をご覧ください。


 リハビリも順調に進み、ひとりでトイレやシャワー入浴ができるようになられました。透析の送迎車の乗り降り訓練が問題なく行え、退院が近づいてきました。Aさんは退院したらコンビニで買い物をするとおっしゃっていたので、それを日課にして運動をしてもらうよう勧めました。
 退院の日、私はAさんに「家に帰っても無理せず、からだを大切にしてくださいね。」と伝えました。シャイなAさんは私に背中を向けて「ありがとな。」とひと言。涙声でした。 私がAさんに行ったのは特別なリハビリではありません。腎臓リハビリテーションが推奨するリスク管理と運動療法、そしてAさんの希望が叶うように全力で協力しただけです。

 私はまだ腎臓リハビリテーションの勉強を始めたばかりです。もっと勉強を続けて、来年は腎臓リハビリテーション指導士の資格が取れるよう、試験にチャレンジします!

 腎臓リハビリテーションや腎臓リハビリテーション指導士に興味を持たれた方は 日本リハビリテーション学会 のホームページをご覧ください。

 長文となりましたが、最後までお読み下さり、ありがとうございました。

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