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2016/07/03
  人工膝関節置換術とは
1.はじめに

人工膝関節

▲人工膝関節

レントゲン写真

▲レントゲン写真

膝の人工関節は、「変形性膝関節症」「関節リウマチ」などの膝関節の高度変形に対して行われる手術です。レントゲン検査にて程度が軽ければ、消炎鎮痛剤の内服、装具療法、関節腔内注射(ヒアルロン酸)、関節鏡手術、骨切り手術等行い、変形が高度(図1)で患者さま自身の疼痛が強い場合、人工膝関節置換術の適応となります。また、英語のTotal Knee Arthroplasty を略して「TKA」と呼ぶこともあります。ちなみに、患者さまからよく質問のある「サメの軟骨」等はテレビなどで宣伝されておりますが、医学的に効果は確かめられておりません。

この人工関節は、50年以上前から欧米を中心に開発され、年々改良が加えられ、疼痛の除去、変形矯正、膝関節の安定についてほぼ満足できる画期的な手術となり、近年の高齢化社会において盛んに行われる手術となっています。しかし、可動域についてはまだまだ改善の余地があります。

西洋では椅子の生活をするため、術後の膝の屈曲については90度曲がればよいということで満足され、日本でも長い間そのような考え方でした。しかし、私たち日本人の和式の生活では、畳や床から立ち上がりの動作が多いため、さらに屈曲することが望まれます。当院では術後の屈曲と長期成績をよくするために手術手技の改良、深屈曲を目指した器械の使用、術後訓練の改善などさまざまな努力を行い成績は良好です。一昔前は「人工関節の手術をすれば膝が曲がらなくなる」と言われたものですが、現在はむしろ手術前より良く曲がる人の方が多くなってきています。ただし、屈曲角度は手術前の角度に多大な影響を受けるため全員が良いわけではありません。あぐらや横座りができる人が約60%、正座ができる人が約10%です。疼痛が完全に無くなるか、どれぐらい術後曲がるようになるかは個人差があるので断言できませんが、適応があれば自信を持ってお勧めできる手術です。近年人工関節の手術が多くなってきたとはいえ、米国では膝の人工関節手術をした人は年間約25万人ですが、日本では約4万人で大きな差があります。このように、日本では諸外国に比べて人工関節の認知度が低いためか、関節の痛みに対し苦痛の日々を送っておられる方も多いと思われます。人工関節の利点をもっともっと知っていただき、より快適な生活を過ごしていただきたいと私たちは考えております。

当院では、主に膝関節と股関節に対し行っております。加齢的変化や関節の病気、けがなどによって変形した関節を人工関節に置き換える手術です。最終的な治療法ですので、他の治療法(薬物療法、理学療法、関節温存手術など)が無効な場合に行われる手術です。他の治療法に比較すると短期間に歩行能力の回復が可能な治療法です。

人工股関節置換術
人工膝関節置換術

2.人工関節置換術の長所

正しい手術を行えば20年以上耐用すると思われますが、一般的には人工関節置換術の適応年齢は60才以上とされています。膝関節に関しては、60才以下で手術を受けられる方は少数ですが、股関節では、40代、50代での人工関節手術を受けられる方もおられます。40代、50代でも他に有効な治療法がない場合は、人工関節手術を選択され、短期に社会復帰されておりますので、人工関節の耐用年数の問題はありますが、手術によるプラスの部分を考えると十分な価値があるものと思われます。また、将来入れ替え(再置換)が必要になっても入れ替えやすいように手術をしておりますので安心してください。膝痛や股関節痛を放置しても、すぐには寝たきりや生命の危機には陥りませんが、明らかに生活活動の場を狭めることにはなりますし、人生の中で最も円熟した時期の大切な出会いや自己表現の機会を失うことになる可能性がありますので、患者さんと相談し手術適応を決めております。

3.人工関節置換術の欠点は?人工関節の適応年齢については?

関節自体を人工のものに置換する手術ですので、骨折などの様に骨がつくまで体重をかけられないということはありません。手術直後より体重をかけることが可能ですので、早期退院、早期社会復帰が可能です。除痛だけでなく、特に、人工股関節は関節の動きや下肢の短縮が改善しますので歩容が著明に改善します。

4.人工関節の再置換術について

人工関節に緩みが生じた場合や人工関節に破損が生じた場合、感染が生じた場合は、人工関節を再び置換する手術が必要になります。大切なことは、初回手術後より定期的に外来を受診することです。レントゲン検査により、緩みなどの問題は早期に発見され、再置換手術も容易となります。

5.当院での人工関節の手術日程

入院期間は片側の場合約3週間、両側の場合約4週間で、合併症が少なければ同日に両側手術も可能です。

術後は、翌日より車椅子に乗っていただき、3日目より歩行訓練を開始します。最初はどうしても術後の疼痛がありますが、早期にリハビリすることが合併症の予防と、長い目で見ると疼痛や可動域の改善につながりますので頑張ってもらっております。

抜糸は約2週半で行い、翌日よりシャワーを浴びることができます。

患者さんの手術の希望と外来での診察により手術が決定されるわけですが、当院では以下の流れで人工関節手術が行われます。

手術1~2ヵ月前 手術日の決定。内科的疾患の評価など。全身麻酔のための諸検査。
手術前日 入院。
手術当日
手術翌日 リハビリ開始。
手術後14日目 抜糸(膝関節は約3週、股関節は約2週)。以後、手術創部が乾燥し、レントゲン検査、血液検査などに問題なく、階段歩行や屋外歩行が自立していれば退院を許可としております。基本早期退院を目指しておりますが、リハビリをしっかりと行いたいという方は当院回復期リハビリテーション病棟へ転棟していただき、リハビリを重点的に受けていただくことも可能です。
術後外来リハビリ通院 基本的には、入院中のリハビリで十分な状態まで回復してから退院となりますのでリハビリ通院は必ずしも必要ありません。
術後外来診察 患者さんにより若干の違いはありますが、多くの場合、手術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、以後は半年から1年に1回程度の通院となります。

人工関節は手術がうまくいってもそれで終了ではなく、定期健診が必ず必要です。
人工関節が破損していないか、感染していないか等、チェックしないといけないからです。
早期に発見できれば再手術は難しくなく、すなわち患者さま自身の体の負担も軽くて済みます。手術後2~3年経つと疼痛が無くなる方がほとんどで、そのためか中には来院されなくなる方がおられ、数年してから疼痛が突然でてきて来院され人工関節が完全に壊れていたということがあります。もちろん再手術は可能ですが大変困難であり、すなわち患者さま自身の体に負担がかかります。このようなことは滅多にありませんが、定期健診を忘れないようにしてください。

6.手術に伴う諸問題

1.麻酔について
麻酔専門医による全身麻酔で行います。手術後の鎮痛目的などのため腰からの麻酔などを併用します。

2.輸血について
ほとんどの場合が他人からの輸血を必要としません。

3.合併症について
人工関節手術に伴う合併症としては、一般に、以下のようなことが希に発生することがあります。
1.手術部位への細菌感染
2.深部静脈血栓症(一般にはエコノミークラス症候群と同意)
3.脱臼(人工股関節の場合)

7.疼痛

術後の疼痛はできるだけ緩和できるように麻酔科医と協力して行っておりますが、膝関節は手術直後の疼痛が比較的強いです。強い痛みは2~3日認めますが、退院される頃にはほとんどの方が軽快しております。もちろん関節の疼痛を除くための手術ですので最終的には疼痛が無くなる方がほとんどですが、消失するまでに3~6ヶ月かかる人もいます。

前項目でも述べましたが、疼痛改善には術後リハビリが大変重要であり、治療は手術とリハビリが共にうまくいって初めて成功します。手術は我々が最善を尽くしますので、リハビリは患者さま自身で頑張らなければなりません。そのサポートは整形外科医、リハビリ医、理学療法士、看護師と共に行います。

8.合併症

滅多に起きませんが、どんな簡単な手術でも合併症は起こりえます。

どんなに技術が進歩しても、100%安全ですと言える手術はありえません。

中でも人工関節置換術は大きな手術に分類され、様々な点に注意しております。

①麻酔による急変
現在はまずありませんが、薬に対するアレルギーのある方がおられます。麻酔科医とご相談ください。

②出血
出血しない手術はありません。一昔前は人工関節の手術を行う際、輸血等しておりましたが、当院の手術方法ではまず必要ありません。また、術前に自分の血液を貯めたり(自己血貯血)や術後出血した自分の血液を返す方法(術後回収血)等もありますが、予測できない出血が起こった際は輸血する可能性があります。

③血栓症
飛行機等に乗ったときにおこる俗に言う「エコノミー症候群」と同様なことが起こる可能性があります。原因は長時間安静による血液の流れの低下であり、「血液の塊」が血管内にできるためです。その「血液の塊」はほとんどの場合、自然に溶けて問題とならないのですが、最悪な場合、血流に乗って肺や脳などへ行くと呼吸停止や脳梗塞になることがあります。当院では、できる限りの予防策をとっておりますが、一番の予防は術後麻酔から醒めた時に患者さま自身が足首等動かしてベッド上でゴソゴソ動いてもらい、血液の流れを悪くしないようにすることです。また早期に離床することも重要で、できるだけ早いリハビリを目指しています。ただし、いつ起こるかわからないので(リハビリ中に起こる可能性もあります)、胸が苦しい等の症状があればすぐ我々に伝えてください。

また、肥満の方に起こりやすいといわれていますので、そのような方は予防として術後2週間毎日皮下に注射を行います。

④感染症
どのような手術でも創部からバイ菌が入る可能性があり、一般的に手術をすると約0.5%は感染するとの統計的な報告があります。当院ではできるだけ感染しないように、抗生物質の全身投与やセメント内への含有、クリーンルーム手術室の使用、宇宙服といわれる全身滅菌の服を着るなど予防策をしておりますが、それでも感染する可能性はゼロではありません。

他の手術に比べ、特に人工関節が感染に気をつけなければならない理由は、人工関節が感染に対する抵抗力が弱く、最悪何回も手術を必要とするからです。

また、数年後に起こる可能性も報告されており、怪我や抜歯などの傷口からバイ菌が入り、人工関節で悪さをすることもあります。ゆえに、大きな怪我や他の手術、抜歯など出血を起こした場合には医師に「人工関節の手術を受けている」ことを伝え、抗生物質を内服し、体内にバイ菌が入らないように注意しましょう。滅多に起こることではないので必要以上に注意する必要はありませんが、頭の片隅には入れておいてください。

⑤人工関節の破損
現在の素材はかなり改善されており可能性は低いですが、あくまでも器械ですので将来破損するおそれがあります。

⑥その他
セメント使用による急変、金属アレルギー、縫合糸アレルギー等

上記の点に注意しておりますが、手術前には予測できず、「合併症が生じた際には最善の治療を行います」としか言えません。まず起こりませんが、絶対起こらないとは言えず、その点を理解していただかないと手術が受けることができません。

9.手術を行う医師、医療スタッフについて

当院では、人工関節に精通した医師、看護師、理学療法士、作業療法士がおります。手術実績に培われた知識と経験により安全かつ正確な手術をこころがけております。

10.その他、何かあればいつでもご相談ください

ご相談: 06-6939-1121 (代表)